寺本鉄工からのお知らせNews

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2025.03.24
モノづくり日記

また1人レジェンドが去りました

 こんにちは、社長の寺本です。  本日3月19日を以て、また寺本鉄工のレジェンド(牧野さんと言います)が1人、退職しました。その方は1970年に18歳で入社して、13年前に一旦定年退職した後、雇用を延長してもらっていました。昨年、そろそろ身を引きたいと申し出があったのですが、まだまだ牧野さんから教わることが多いので、あと1年だけと無理を聞いてもらいました。残念ですし、寂しいですが、とうとう本日をもって完全に退職という事になりました。  なんと55年も勤めてもらったんですね。まさにレジェンドです。当社は創業して57年ですから、創業間もない頃からずーっと寺本の歴史を作ってきていただいたということです。  寺本鉄工は私の父が57年前に加工と組立が得意な会社として創業しました。福井では「寺本」って聞くと「いい仕事をする会社ですね。」って必ず言われるくらい当時からその技術は高かったと聞いております。その中心にいたのがまさに牧野さんなんですね。  現在でこそ当社は設計から加工、組立、電気を一貫して行うセットメーカーですが、創業して25年くらいは、完全な下請けとして、様々な業種のお客様から図面を支給してもらって加工と組立を行う会社でした。牧野さんは医療、食品、木材、建設、車両、衣料、半導体、工作機械、レーザーなど、どんな業種のどんな機械も、組み立てられない機械はなかったです。大げさではなくそれくらいすごい人でした。0.01mmの精度を要する機械から長さ20mもある装置だったり、書けば書くほどその偉大さが思い出されてきます。  牧野さんが多くの社員に技術を伝授してきてくれたおかげで当社は今でも「技術の寺本」してお客様から高い評価を得ております。本日就業後、社員みんなで食堂にて簡単な送別会を開きました。送別会では10個ほどの質問をクイズ形式にしてみんなで答えるのですが、さすがレジェンドという答えもあったり、誰も入社してない頃で、そんな事は誰も知らんやろという答えだったりと、最後にみんなで楽しく送り出すことができたと思っております。私も牧野さんとは私が入社した時からですから38年間もいっしょに働いてきて、たくさんの思い出があります。さすがに最後の挨拶にはちょっとウルってきてしまいました。  牧野さんの「技術の寺本」の「顔」としての計り知れない功績と実績は会社にとっても、私にとっても、そして共に働いた社員にとってもかけがえのないものです。これからは、自分の時間を大切にして、お元気で充実した日々を過ごしていただけたらと思います。  長い間、お疲れさまでした。ありがとうございました。  

また1人レジェンドが去りました

2025.02.25
モノづくり日記

うちの社員は雪が降っても遅刻しません。

 こんにちは、社長の寺本です。  前回のブログにも書きましたが、当社は昨年、過去最高売上を更新しまして14億円を突破できました。ということでもちろん今年も出しましたよ、2年連続「祝 最高売上更新」として全社員に1人2万円。社員も42名になりましたので、まあまあな支出です。でも、これが社員の励みになれば安いもんですね。今年も始まってすでに1ヶ月半が経過しましたが、今年もうちの社員はやってくれると思います。  さて、話は変わりますが、今年の冬は最高最長寒波というニュースをよく聞きましたね。福井もよく降りました。例年1回か2回くらい、夜中に大量に雪が降り続いために、朝に出勤時間がいつもの倍くらいかかる日がありますが、今年は降り続いたにしては運良く?そこまでたいへんな積雪ではなかったのかなと思います。  うちの社員って、雪が降ってもほとんど誰も遅刻しないんですよ。すごいでしょ。さすがに上記のような大雪の時はまったく車が動かないので、みんなが定時に来ることは不可能ですが、今年の雪くらい(積もっても15センチくらい)じゃ、みんな定時に出社しています。  たぶん、みんないつもより早く家を出てくれているんだと思います。ありがたいです。積雪がある朝は、渋滞もそうですが、事故もありがちで、そのようなリスクも考えて、1時間くらい早くに出社する社員も数名います。すごいでしょ。むちゃくちゃ嬉しいですし、そんな社員が誇らしいし、とっても感謝しています。  それでですね、その社員の気持ちに応えるために、私は雪が降るとフォークリフトを使って(でっかい除雪車(ホイールローダー)ではないですよ)除雪をします。雪の量によっても違いますが、約40台分くらいが停められる駐車場を、約2時間くらいかけて除雪します。だいたい早い社員で7時頃には出社する社員がいますから、5時頃から始めます。 ←こんな感じです。  まー、寒いです。恥ずかしくってお見せできませんが、上下スキーウエアにスキー用グローブ、毛がふさふさの耳まで隠れる帽子をかぶって、防寒対策バッチリでやります。(笑)  社員のみんなは、朝、大雪であってもなんとか出社しようと、頑張って会社に来ます。大雪の時など、3時間くらいかかかったという社員もいました。そんなたいへんな思いをして、会社に来てもらって、ようやくたどり着いた駐車場が雪で覆われていたら、やる気をなくしますよね。下手したら、次、大雪の日はもう会社行くのをやめようかなと思う社員も出てくると思います。  私の除雪はもう20年くらい続けていますが、もちろん「ありがとうございます」って言ってくれる社員も何人もいます。私も感謝の気持ちでやっていますが、そうしたお互いの気持ちが1つになる、それも「寺本」のすばらしさであり、強さかもしれません。  今週からようやく暖かくなるみたいです。たぶん今シーズン最後の除雪をさせてもらいました。        

うちの社員は雪が降っても遅刻しません。

2025.01.08
モノづくり日記

勝ち続けるためには

 あけましておめでとうございます。社長の寺本です。本年も宜しくお願いします。  前回のブログから3ヶ月くらい空いてしまいました。多くの?(どうかしました?と声をかけてくれた方は数人ですが、たぶん全国に多くいると勝手に想像しまして)ブログファンの皆様にご心配をおかけしたと思います。今年も社長のブログ全開でいきますので、引き続きご愛読の程、宜しくお願いします。  さて寺本鉄工は1月6日(月)から仕事始めでした。もちろん今年も、社員の前で意気込みを熱くしゃべらせてもらいました。(笑)  当社は昨年、過去最高の売上を2年連続更新して、14億円を突破しました(このことはまた今度書きます)。一昨年10億円を突破したばかりなのに、すごいですね。これは社員一人一人が一生懸命工夫して生産性を上げ、そして自分の出来る範囲で残業をして協力してくれたおかげであり、そして「寺本鉄工に出せば、納期通りにいい機械やいい部品を造ってくれる」という「寺本ブランド」を守り続けてくれている証拠だと思います。そんな社員を誇らしく、そして感謝しています。  挨拶ではそんな感謝の言葉を伝えるとともに、今年伝えたかったことは「勝ち続けるためには」でした。おかげさまで当社はコロナ禍であっても順調に売上、利益を伸ばし、ここ何年も右肩上がりに成長、発展しています。表現は大げさかもしれませんが「勝ち続けている」と思います。でもそろそろ10年後20年後を見据え「勝ち続けるためにどうすべきか」ということを真剣に考え、取り組み出す時期ではないかと思います。  箱根駅伝は今年も青山学院大学が優勝しましたね。原監督になって11年で8回の総合優勝です。企業もチームも勝ち続けるためには何が必要でしょうか?私はまず大事なのは社長や監督といったトップだと思います。私は社長になって19年目になるわけですが、先日読んだ雑誌に社長の賞味期限は最大でも15年とありました。まだしばらくは交代できる状況ではありませんが、いつでも交代できるように次期経営者を複数名育てていきたいと思います。  そしてもう1つ大事なのがいい人材が入る事、そしてそれらの人材を上手に育てる仕組みがある事です。当社はありがたい事に毎年優秀な新卒が複数名入社してくれています。そのようなポテンシャルの高い人材を一流に育てるしくみ、組織こそがこれからの寺本鉄工にさらに求められているのではないかと思います。もちろん今日までもこの2つは取り組んでいましたが、あらためて今年作成する5年の中期計画にきちっと盛り込んで、確実に進めていきたいと思います。  そんなことを伝えながら、やっぱり最後に伝えたかったのは、「勝ち続けるために1番大事なのは、おごらない事」でした。昨年、残念ながらまだその大事さをわかってもらえていないんだなと思われるミスやクレームの報告がいくつかありました。すべて「勝者のおごり」からなんですね。当社が昔、負け組だった時の話もしました。どんなに頑張っても、どんなに残業しても、休日出勤しても負け組の時は儲からないんですよ、利益が出ないんですよ、とてもみじめなんです。だから勝ち組に入らなければならないんですよと。  「そんなんでは簡単に負けてしまいますよ」、この言葉だけは最後にかなり強めに言わせていただきました。  今年も勝ち続けるためにどんどん仕掛けていきたいと思います。      

勝ち続けるためには

2024.09.11
モノづくり日記

機械の医者

 こんにちは、社長の寺本です。  寺本鉄工の創業者もある私の父は現在87歳で、会社からは引退しておりますが、今でもたまに経営的な事、技術的な事のアドバイスをいただいております。  そんな父から、最近身体がむくんでるみたいなので、病院に連れて行ってほしいと言われました。父は免許を返納しており、また先日腰の手術をしたのもあって、歩くのもやっとなので、病院に行く時などは私を頼ってきます。たまたま私も時間が空いていたのでその日のうちに近所の病院に連れて行きましたが、その病院では原因がわからないということで、日本赤十字病院を紹介してもらい、翌日に父を連れて行ってきました。  混んでいたのもあり、朝10時の予約で、会社に戻れたのは17時ころでした。再度詳しく検査するということで翌々日も朝8時の予約で病院に行き、会社に戻ったのは14時ころですから、待ち時間も含めると合わせて約1日半病院で検査してもらったことになります。  こんなに長時間、病院にいるのはなかなか経験ないんですが、改めてお医者さんってすごいし、大変だし、本当に一生懸命なんだなってつくづく思いました。普通1人の先生ですが、私の父には若い男性と若い女性の先生がついてくれて、お二人で相談しながら検査結果を確認してくれていました。若いのに(この言い方が年寄りかもしれませんが)立派ですね。本当に一生懸命なんですよ。それが先生にとっては当たり前なんでしょうけど、感心しちゃいました。  身体がむくむ⇒心臓?血液?⇒採血、心電図、心エコー、レントゲン⇒輸血、薬・・・医者じゃないので、うまく表現できませんが、言いたいのは、「身体がむくむ」という症状から、いろんな事を連想して、検査し、その結果また別な検査をして、その結果でどうするのか?、薬で様子を見るのか、すぐ手術などで対応するのか・・・今までにいろんな事を勉強し、そして実際の患者でいろんな事を経験し、それらが頭の中で整理され、次から次へと進めていく・・・。  これって、我々がやっている機械の仕事と同じだと思いました。昨日まで何のトラブルもなく動いていた機械が急に止まる、誤動作する、不良率が増えるってたまにあります。もちろんすぐにお客様の会社に行ってな直さなければなりません。問題は昨日までと何が違うか、何が変わったかですね。真っ先に疑うのは断線ですが、これじゃないとすると1つ1つ疑わしい箇所を点検していきます。⇒購入品の劣化?電気?エアー?⇒異音はしていないか?電圧がどうなのか、エアー圧は下がっていないか⇒すべて正常⇒???  私は最近はもうお客様の現場に行くことはほとんどありませんが、昔経験した話でこんなことがありました。ある日機械が急に動かなくなったという連絡があったのでお客様の工場に見に行き、上記のような確認作業を1つ1つやっていきました。が、1日調べても2日調べても原因がわかりませんでした。そして3日目にお客さんから初めて聞いたのですが、なんと動かなくなる前日に照明を蛍光灯からLEDに変えていたんですね、原因はそれでした。今まで、正常に作動していたセンサーが周りの明るさの条件が変わったために、正常に検知しなくなっていました。  若いまだ経験が浅い社員には、機械が急に動かなくなった場合、固定概念(そんなところ関係ないと思う所)を捨てて、いろんな事を疑いなさいと日々伝えています。機械は正直です。何か1つでも異常な箇所があると動かないです。お客様は、1日でも1時間でも早く復旧してほしいはずです。その為には、我々エンジニアも、それ相当の知識、経験を蓄積する努力が必要ですね。そういう面で病院の先生も我々もいっしょだなと、父の病院に付き合いながら、ずっとそんな事を考えていました。      

機械の医者

2024.08.28
モノづくり日記

福井県工業学科チャレンジロボコン

 こんにちは、社長の寺本です。  8月24日(土)に第32回福井県工業学科チャレンジロボコンが今年は科学技術高校で開催されました。私が所属する福井県機械工業協同組合は毎年この大会に協賛しており、技術賞を授与しております。例年は理事長が出席しますが、今年は都合が悪いということで、副理事長の私が出席いたしました。  実は10年前くらいにも1回出席していまして、本当はその後も続けて出席したかったのですが、念願叶い、ようやく今年出席することができました。事前に主催者側から「お忙しいと思いますので、開会式と閉会式以外は自由にしていただいていいですよ」とか「技術賞の選考が難しければ、こちらで選びますよ」などと優しい心遣いをいただいていたのですが、「全部見せていただきたいし、1番技術が優れているのは自分で決めたいです」ときっぱりお断りしました。(笑)  今年の大会は6高校14チームの参加でした。10月の全国大会が栃木県であるということで、例年通り開催県の栃木県がルールを作成しました。ルールを簡単に説明しますと、競技時間は3分間。とちまるくん(リモコン型ロボット)とルリちゃん(自立型ロボット)により東照宮を中心に、日光杉並木・日光二荒山神社・いろは坂・中禅寺湖を巡り、アイテムの奉納をたくさんしたチームの勝ちになります。2回行い、上位4チームによる準決勝、決勝は奉納ポイントの高い方が勝ちとなります。  まずびっくりしたのが、ロボットの完成度ですね。完全に想像を超えていました。ペットボトルに圧縮した空気をつめて、エアーシリンダーを使っているロボットもありましたし、今年はありませんでしたが、モーターを使って真空を作り、吸着するロボットもあるとのことでした。また骨組みはアルミが多かったですが、細かい部品は今流行りの3Dプリンターを使って作られていました。言い出したらキリがないのでこの辺にしておきますが、もう感動!感動!で、休憩時間はずーっとロボットを見まくっていましたし、構造がどうなっているかなど聞きたいことは遠慮なく生徒に聞いていました。たぶん生徒には「変なおっさん(笑)」くらいに見えていたんじゃないかと思います。  さて、私も一応、設計、加工、組立、電気の全部できるプロなので、私ならという目線でも見てました。1番上の写真の中に黄色のメガホンがあります。これを5つ集めてきて置くのと、写真では見えないですが、卓球、ゴルフ、テニスのボールを各6ケずつ集めてきて置く、この集めて→置くという動作が上下400㎜。それにプラス、5ヶの柔らかいメガホンの掴み方、そして各ボールを間違いなく掴み、かなりのスピードで動いても落ちない、そして最後に正確に置く。この基本を押さえたロボットは私なりに完全に頭の中では出来上がりました。(笑)  大会の結果は1番下の写真の赤いロボット(若狭東高校 工業研究部 チーム名:レッドキャリー)が優勝しました。予選からミスというか誤動作が殆どなく、安定したすばらしいロボットでした。それと私が決めた技術賞は真ん中の写真のロボット(坂井高校 技術部 チーム名:しろくまX)にあげました。理由は、まず構造ですね。いい機械というのは必ずガッチリしていないと精度も出ないし、誤動作を起こしやすいのですが、そういった点が良かったのと上下駆動、ボールを確実にすくう、落とさないように移動するという工夫が確実にできているロボットだからでした。残念ながら結果は3位でしたが、優勝してもおかしくないくらいのレベルでした。  3位までの3校が10月の全国大会に行きます。是非とも頑張ってほしいですね。またこのような生徒達がモノづくり福井の製造業を支える人材になってほしいですね。久しぶりに楽しい時間を過ごせました。    

福井県工業学科チャレンジロボコン

2024.08.23
モノづくり日記

ポロシャツ=ロボット掃除機

 こんにちは、社長の寺本です。  休日に家でテレビを見ていましたら、ジャパネットのテレビショッピングでロボット掃除機を販売していました。仕事柄、ロボットは大好きで、こういう物に前から興味があったんですが、たまたま家でゆっくり見れたのと、19,800円という、手ごろな値段だったので衝動買いしちゃいました。  数日後に商品が届きました。家ではロボット掃除機が活躍できそうな広い床がある部屋はないので、30畳ほどある会社の食堂で使う事にしました。早速、箱から出してスイッチを入れると、すごいですね~、テレビで言っていた通り、障害物にぶつかっては進路を変え、またその先でぶつかっては進路を変えと・・・。そのロボットを見る私の目線は、床がきれいになっているかではなく、その動きや進路変更の仕方、それになぜ同じところをなるべく通らないんだろうなど、完全にエンジニア目線でした。  10分ほど見ていてさすがに飽きてきたので、そのあとは勝手に掃除してもらっていたのですが、数時間後には止まっていて、掃除機につけたウエットシートは真っ黒(ちょっと大げさですが)でした。ちなみに高いロボット掃除機ではないので、自分で電源には戻らず、途中で止まっていましたが、それでも大満足です。  仕事柄、性能と価格が気になってしまうのですが、これだけの機能がついて、たったの19,800円なんですね。消費者の方からみれば、19,800円もと思うかもしれませんが、エンジニアのプロの感覚からすれば、たった19,800円で、中にはたくさんの電気部品があり、何点もの部品で構成され、それらが正確に組付けられています。そしてこちらがそこそこ満足するレベルで掃除を完了してくれる、それがたったの19,800円なんて・・・。  私は洋服が好きでブランドの服を買うことがあります。気に入ったポロシャツだと1着20,000円くらいするのもあります。比べるのもおかしいかもしれませんが、(アパレル関係の人が読んでいたらすみません)生地を縫い合わせただけのポロシャツと、すごい機能が凝縮されたロボット掃除機が同じくらいの金額なんて・・・。ロボット掃除機に限らず、大手家電量販店に行くと、テレビや洗濯機など何を見ても、これだけの機能がついて、なんでこんなに安く売ってるのって何年も前から思っていましたが、今回あらためてこういった家電のコストパフォーマンスがいかにすごいのかを感じました。  またまたこんな話になってすみませんが、当社みたいな会社が頑張って技術を向上させているからこそ、お掃除ロボットのみならず、携帯電話や自動車やありとあらゆるものが一般に消費者に安く提供できています。衣類と比べて申し訳なかったですが、あらためて世の中の製造業の技術力には感心させられました。  でも、ちょー割高感があっても、やっぱりオシャレはしたいので洋服は買い続けます(笑)

ポロシャツ=ロボット掃除機

2024.06.25
モノづくり日記

次世代半導体からゴミステーションまで

 こんにちは、社長の寺本です。  「次世代半導体からゴミステーションまで」。「宇宙ステーションまで」じゃないですよ、タイトルはあたっています。その話をしたいと思います。  当社は、EV自動車、5G、次世代半導体といった最先端の分野で使われる産業機械の設計製作を通じて、お客さまの理想的なモノづくりを支え、より便利な社会の実現へと貢献する一流のモノづくり会社です。  そして当社がより高精度、高精密で且つ、機能的で故障しにくく、メンテナンスしやすく作る事、そしてその価格をできるだけ安く抑えて作る事によって、世界中の車やスマホやPCなどが一般の消費者に安く提供できるんだという存在価値(パーパス)を持った会社です。  そのような世界に貢献する会社に(ちょっと大げさですが)、先日、1本の電話が入りました。「近くの町内の町内会長をしている〇〇と申しますが、実は町内のゴミステーションの扉が錆びて壊れかけているのですが、そちらで修理できませんか?」当社は社名に鉄工とついているので、まさか精密な機械を作っているとは想像もできなかったのだと思います。そして続けて言われたのが「2~3軒、電話したのですが、どこにも断られまして・・・」、そうですよね、ゴミステーションを丸ごと作り直すのであれば、引き受けてくれる鉄工所もあると思いますが、修理だけだとすると、正直とても面倒くさい話です。  んー、迷いました。おかげさまで会社はとても忙しいです。もちろん私も言うまでもなくそんなことに付き合う時間なんてありません。でもね、すごく困っているのがわかるんですよね。私も自宅のトイレが壊れた時に、どこに電話していいのかわからなかったです。トイレまるごと交換するならまだしも、「修理してもらえませんか」なんて言いづらかったのをすごく覚えています。「ここでうちが断るとこの町内会長さん、すごく困るんだろうな」なんて考えたら、「とりあえず、今から見に行きますよ」って言っちゃいました(笑)。  すぐ近くなので、5分もかからず行くと、女性の町内会長さんが待っていてくれました。「ここなんですよ~、ここが錆びてきたために、扉が途中までしか開かなくなってしまいまして・・・、町内の方からはなんとかしてくれと何件も電話があって・・・、ほんと助かりました。」  見た後に断わるつもりはなかったのですが、さてどうやって直そうかと考えました。扉のレールが錆びているので、それを交換すればいいのですが、そのレールは、がっつり溶接がしてあるので、問題はそれを剥がすことができるのかと、この場所に溶接器を運んできて溶接できるのかということです。その場で真っ先に当社の板金溶接関係を協力していただいている会社の社長に電話して内容を伝えました。「寺本社長の頼みならいいよ」って言ってくれましたが、声の裏には気のせいかもしれませんが「面倒くさい」って聞こえてきそうでした。  会社に戻ってから、もう一度考えました。たいしたお金も貰えそうにないので、うちの協力企業さんも含め、みんな面倒くさいですよね。そう思ったし、もともと自分が受けた話だから、自分1人でやることにしました。若い頃に現場は嫌というほど経験していますので、このくらいは1人で修理する自信はあったのですが、さすがに精密機械を製造する当社には溶接器がないので、それ相当のネジ止めで対応することにしました。  自分で部品図を描き、発注して10日後くらいに部品がそろったので、1人で作業を始めました。ちょうどその日はゴミの日でもあったので、ゴミステーションに来た15人くらいの方々から「よかったわ~、もう最近、扉が開かなくて困っていたんや~」「本当、ありがたいです」みたいなお礼を皆さんから言われました。もちろん修理完了した時は、町内会長さんからもとても感謝されました。最初お願いしようとしていた協力企業の社長さんからは「今や世界を相手にしている(ちょっと大げさですが)会社の社長が、ゴミステーションを直すなんて・・・」と、腹をかかえて笑われました。  修理代をいくらもらうか、これも迷いました。世界を相手にしている会社なので(笑)、10万円くらい請求したいところですが、もともと私1人でやって、社員にも手伝ってもらわなかったので、材料費だけ(それでもステンレスなので19,000円)その町内に請求させていただきました。(無料でもよかったのですが、逆に困ると思いまして)  寺本鉄工は、次世代半導体の機械も作りますが、ゴミステーションも直します。が、これを読まれた方、なるべく電話しないでくださいね。そんな暇じゃないんです。(笑)  

次世代半導体からゴミステーションまで

2024.06.07
モノづくり日記

還暦を迎える社長の本音

 こんにちは、社長の寺本です。  私事で恐縮ですが、5月28日で還暦を迎えました。大学を卒業してすぐ寺本鉄工に入社しましたので、丸々38年間この会社で勤めてきたことになります。23歳で入社した時は、正直、跡を継ぎたいとか、寺本鉄工を将来どうしたいとかという気持ちはまったくありませんでした(笑)。気がつけば38年も働いたんだなぁって、しみじみ感じています。  38年間、もちろんいろいろ事がありました。私が入社したころは社員が5~6人だったのが現在は42人ですし、年間の売り上げも今では10億円を超えましたが、当時はたぶん5千万円もなかったと思います。苦労だらけだったのは言うまでもありません。でも、それも今では良い思い出になり、本当に良い社員に恵まれて、毎日楽しく、やりがいを持って仕事に取り組んでいます。  さて、そんな中、ある若手社員から「社長の還暦祝いをしたいんですが、5月28日の前の週末でどこか空いている日ないですか?」って聞かれました。  社長って、変な話、どこかで「還暦」を意識してると思います。もちろん私もそうでした。還暦が近づくにつれて、実はドキドキでした。自分から社員に「還暦祝いしてほしい」なんて、口が裂けても言えるはずがないですしね。たまたま、その前の週の週末が空いていたので、よかったです。(もし空いていなかったら、無理やり空けたと思います(笑))  さらに本音を言うと還暦の祝いをしてくれるかどうかもそうですが、実は何人集まってくれるかもとても気になっていました。これって社長の人気度の現れじゃないですか?これは謙遜しているわけでもなく、みんな忙しいし、10人くらいは集まってほしいなぁというのが本音でした。  変な緊張感が何日も続く中(笑)、還暦祝い当日まで参加人数を聞かなければ良かったのかもしれませんが、その参加者に当日お返しを渡したかったので、1週間前に、企画してくれた社員に理由を言って無理やり参加人数を聞きだしました。するとなんと40人弱・・・ほぼ全員じゃないですか、それも参加できない社員は、当日どうしても来れない理由があって、プレゼント代は出してくれているとの事でした。  社員全員から還暦のお祝いをしてもらえるって・・・こんなうれしい事ってありますか?それを聞いた時は言葉にならないくらい嬉しかったです。今まで社員のためにと、どこの社長よりも一生懸命頑張ってきた自信があります。社員はそのことを見ていてくれたんだなぁ、そしてわかってくれていたんだなぁと思うと、より一層嬉しかったです。  会社近くの居酒屋で開いてもらった還暦祝いにはほぼ全員が集まってくれて、そして社員全員からのお祝いの品もたくさんもらえて、本当に幸せな社長だと思いました。社員の皆様、ありがとうございました。  それと当社では、誕生週の社員はタイムカードのところに「祝、〇〇さん、〇月〇日誕生日」と貼られます。それを見る事によって、みんなからお祝いの言葉をかけてもらえる事が多く、それも社内のコミュニケーションに繋がっていると思い、ここ数年続けています。ということで5月28日の週は私が還暦なので赤ベースで張り出されていました。ありがたいですね。私が毎朝欠かさずおこなっている、社員一人一へのおはようの挨拶は、社員への感謝の気持ちを込めて、5月28日だけは還暦祝いでいただいた赤い帽子と赤いポロシャツを着て行わさせていただきました。(笑)  想像を何倍も超えた「還暦」を迎えられて幸せです。今後還暦を迎える社長にプレッシャーを与えるために、自慢しまくります(笑)。  

還暦を迎える社長の本音

2024.05.23
モノづくり日記

新たな歴史「フェーズ2」へ

 こんにちは、社長の寺本です。  ずいぶん日にちが経ってしまいましたが、4月1日に行われました入社式の話をしたいと思います。今年は男性2名、女性1名の合計3名が入社してくれました。今まで新卒が2名というのは何回かありましたが、3名の入社は当社にとって初めてです。新卒が1人も入らないと困っている会社が多いと聞きますが、そういった意味でも、寺本鉄工の魅力や価値が上がってきている証拠だと自負しています。  昨年の入社式では「強豪校の強さと寺本鉄工」ということで、自分なりにもいい表現で歓迎の言葉を伝えられたなぁという思いがありましたので(あくまでも自分なりにですので、笑)、今年はどんな言葉で歓迎を伝えようか正直悩みました。  当社はコロナや円安などまったく関係なく、おかげさまで毎年売上が増加しております。それは今の寺本鉄工の技術に対し、お客様から高い信頼と信用を得ているからこそ、たくさんの受注をいただけているわけでして、「すばらしい技術ですね」「すばらしい開発力ですね」「すばらしい品質であり納期対応ですね」とよく誉められます。たいへん光栄なことです。  最近はそのように誉めて頂けるお客さまに「今よりもさらに10年後が楽しみですよ」とお伝えしています。なぜかといいますと、当社は毎年福井大学などといった高学歴の新卒採用を10年以上続けてきており、そのメンバーが1年1年と想像以上に育ってきているからです。そしてその若いメンバーがもともと寺本の持っている技術を継承しつつ、今いる中堅社員とともに新たな「寺本」を作る予感がしているからです。私も10年後には次の世代へバトンタッチを考える頃だと思いますが、その私のラストスパートの10年間で、こういった若手社員を必ず一流に育てる自信があるからでもあります。  5年前に創業50年を迎えた寺本鉄工は、次のフェーズ「フェーズ2」に入ったと私は感じています。今まで半世紀かけて築き上げた「寺本鉄工はいい仕事をする」という伝統から、「寺本がいい機械をできるだけ安く造る事によって、より便利な社会への実現へと貢献する」という存在価値(パーパス)のある会社へとあきらかに変化してきていると思います。  今年の入社式では、そんな話をしながら「寺本鉄工の新たな歴史を作る一員になってください」と伝えました。今年も本当に楽しみな3人です。「フェーズ2」を必ずやり遂げてくれるでしょう。

新たな歴史「フェーズ2」へ